すると、他の賊達の声が喧騒となって頭上へ降ってくる。


「おい、早く変われよ?みんな楽しみにしてんだからさァ…!」

「次は俺だ!あぁ…こいつァ待ち遠しいぜ!!」

「ルナティアの大臣か何か知らねぇけどよ、そいつに感謝しなきゃなァ?」




ルナティアの…大臣?

その人が、私を殺せと、この男達に命じたの?









…信じられない。

いや、ただ信じたくないだけかもしれない。




今回の結婚が、ルナティア国内では良く思われていないって噂では知っていたけれど。



まさか、そんな偉い方々に命を狙われる程…私は邪魔な存在となっているの?






そんな事を考えていたら、自然と力が抜けていくのを感じた。


「ハッ…!ようやく素直に抱かれる気になったか?」

一人の賊が満足げに笑っているのが見える。




だって、なんだか抵抗するのも馬鹿馬鹿しいと…そう思ってしまったから。






もし私が彼等に抵抗を続けて、万が一にも助かったとする。

それで、私の無事な帰還を喜ぶ人は何人いる?


お父様やミトラは優しく迎えてくれるだろう。

でもルナティアには、私の無事を忌ま忌ましく思う人達ばかりに違いない…。





もしかしたらここで死んでしまった方が、喜ぶ人は多いんじゃないのか。



そんな事ばかり考えていたから、今自分に起こっている状況を把握できていなかった。








ビリッ



私の上に跨がっている男は、いきなり私が着ているドレスを破り出したのだ。


彼等の目に、男性に触れられていない白い肌があらわになる。



「すげェ…!こりゃァ娼館にいる女とは比べもんにならねぇ!」



傍らに立っている男が興奮した様子で覗き込んでくる。







いや…やめて……



やっぱり、好きな人以外に触れられるのは嫌…!



「やぁ…た…助けてっ!!」

いつの間にか、私は声の限りそう叫んでいた。



周りには賊の仲間以外に誰もいないって、分かっているのに。