「あたしが前に言った、 『雪が降ったらしたいこと』 ってね… 雪の中で歌うことだったの 雪って、音を消すでしょう? あたしの歌声が 音を消す雪の中で 誰かの心に響くなら あたしは、そのとき 死んでもいい」 「馬鹿」 奏鈴が息を吸ったのがわかった。 今の声は ひどく冷たかったと思う。 だけどそうせずには いられなかった。