「奏音くん」 祐未さんの優しい声が鼓膜を震わせる。 「…奏鈴のわがままって?」 俺は深呼吸して、 「…雪が降ったら俺と一緒に 散歩がしたいらしくて。 奏鈴は…自分の生きた証を残したいと 言っていました」 目をぎゅっと閉じた。 奏鈴の笑顔が浮かんだ。 やっぱり俺の頭の中は 奏鈴でいっぱいなんだ。