「――最近、不吉な影が蠢いておる」 「え……」 不吉な影とは……、レイが聞き返そうとしたとき――。 ――ザァ… 再び、ふたりの間を風が吹きぬけた。 その風で辺りの木々が激しく舞い、レイは思わず目を瞑ってしまう。 そして次に目を開けたとき、そこにオーヴェの姿はなかった。 『不吉な影が蠢いておる』 「いったい……、何のこと…」