「リスノさ……」 そこまで言いかけて、レイは言葉を止めた。 初めて見るリスノの姿。 そして――初めて聞いたこの村の過去…。 満月の夜にポツリと呟いたクリスの言葉のその意味が、やっとわかった。 目の前で俯くリスノにかける言葉が見つからず、レイはそのまま黙り込んでしまう。 暫くの間、外から小さく聞こえる木々のざわめきや虫の声だけがその空間に響いていた。