誰にだって知られたくない過去はある。



もちろん……自分にも。



レイが再び大きなため息をついた時、部屋の扉が遠慮がちに叩かれた。



「レイ、起きてるかい?」



扉の向こうから聞こえる声はリスノのもの。



こんな時間に何だろうと思いながらも、立ち上がったレイは扉を開けた。



「どうしたの?」



レイの問い掛けにリスノは悪戯っぽく微笑むと、顔の横で瓶を揺らした。



「ちょっと付き合っておくれよ」