レイの漆黒の瞳には、満天の星空が映っていた。



まるで――そこにもうひとつ星空があるかのように……



「なっ、何言ってるのっ…」



目の前に迫るクリスの顔に、レイは思わず顔をそらした。



私……どうしちゃったの…



心臓が苦しいくらいに脈うつ。



「も、もう帰ろうっ」



そのまま勢いよく立ち上がると、レイはその赤く染まった頬を隠すようにくるりとクリスに背を向けると来た道を戻りはじめた。



「…っおい、待って」



クリスも慌ててレイの後を追う。



――夜空には、変わらず美しい月が浮かんでいる……。