「別に大した事じゃないんだけどさ…」 クリスは後ろに手をつくと、ぼんやりと満月を見つめながらポツリポツリと話し始めた。 「俺たちクラエスの民は、昔はかなりの権力をもっていたらしいんだ」 「権力…」 「そう…」 そう言うと、クリスはその視線をレイに向けた。 「人間っていうのは…権力を持つとそれを使わずにはいられないんだ」