レイの言葉にクリスはこくりと頷いた。 「レイは、リスノさんから聞いた?俺たちの事…」 『俺たちの事』――レイはずっと疑問に思っていた。 クラエスの村の人は皆自給自足、外界との交流が全く無いのだ。 それでもその疑問を口にすることはできず、結局今まで気にしないようにしていた。 「聞いた事……ないけど…」 聞いていいの……? じっとクリスを見つめるその漆黒の瞳に、美しい満月が揺れた。