オーヴェと呼ばれた老人は、ゆっくりとレイが眠るベッドに近付くと、じっとその姿を見つめた。 …――黒い髪。 オーヴェは、生まれて初めて見る漆黒の髪に目を奪われているように見えた。 そんなオーヴェの態度に、リスノはこれ以上待てないというように口を開いた。 「黙ってちゃわかんないだろ!ったく、ついにボケちまったのかい? だいだいあんたは…」 「…いいだろう」 「え?」 あまりにも意外なオーヴェの言葉に、おもわずリスノは間抜けな声をあげた。 「いいだろう、と言ったんだが?」