そんな古の民が住むその場所へ向かって、リスノはゆっくりと足を進めていく。 「よいしょっ」 もう何度目になるか。リスノはレイの体を抱えなおすと再びその横顔を見つめた。 (…ここまで連れてきたけど、みんな何ていうか…) クラエスの民は、かつての経験からか自分たち以外の人間を受け入れることを酷く嫌った。 (まぁ、とりあえず殺しはしないだろうけど) リスノは仲間たちの顔を思い浮べて思いを巡らせると、再びその視線を森の奥へと向けた。 ――サクリ… リスノの足音だけが、静かな森に響いていた――…