【長】黎明に輝く女王

 人それぞれ、違いはあるかもしれないが、一人だととても捗る。集中できるとでもいえようか。
 だからこそ、一息付いたときの解放感は至極である。

「ふぁあ……疲れた」

 お茶でも飲もうかと、準備をする。ティーポットにお湯を入れ、茶を入れるだけの単純な作業。
 いつでもおいしく飲めるようにと、自分で淹れ方も勉強した。

 薫る茶のにおい。肩の力を抜き、リラックスする。
 一口、口にすると広がる味。甘くなく、苦くなく、丁度いい味が好きだ。

 それから何口か飲んだ後。

「眠いなぁ……ちょっと休もうかな」


 疲れが出たのか。リラックスしすぎたのか。眠気が襲ってくる。隣にある仮眠室で一休みでもしようかと、身体を起こした時、耐えられなくて意識を手放した。


 本当に疲れている時って、なかなか夢を見ることもない。そう、深い眠りとでもいようか。
 自分が存在していることすらも忘れるような感覚に陥っていた。

 だから、自分のことなんて、一番分かっていなかった……ような気がする。


 またか、と最初は思った。暗い部屋の雰囲気。気が付いたら夜になってました、なんてもう洒落にならない。
 それに、確か休もうと思ったのは、昼前。じゃあ、何時間寝ていたという事になるの。

「……それよりも、頭痛い。まだ眠いのかな」

 ダメ、もう少し……。せっかく、目が覚めたのに再び眠りについてしまう。

 この時、気を許さず起きていれば、また何か違いがあったのかもしれない。