そう、初めて

貴方と結ばれた場所

もう、二度と足を踏み入れる
事はできない

その部屋を・・・

最後に見ておきたいと思う

私がいた。

最後に・・・

エレベーターを降りた私の瞳
に庵の姿が映る。

隣に居るのは、幹生さん・・

「カナメさんなの?」
 
私は、一歩ずつ、庵の傍へと
近寄る。

彼の声が聞こえた。

「カナメ、俺が行く」

「親父、それだけは、駄目です
 貴方は、仮釈放の身
 また、刑務所に・・・」

庵の瞳に、菫の姿が映る。