静かな空間・・・

係官が立ち会いの元

正二は話し出す。

「お前が出所してから話す
 つもりでいたが
 私も、もう歳だ・・・
 
 人様の前で話すような内容
 ではない為、手紙をと考え
 筆を取ったが
 やはり、私の口からお前に
 伝えておきたい」
 
正二は、重い口を開いた。

庵は息を呑み、その話を
黙って聞く。

「お前は、兄貴の子供ではない
 お前は、俺とサオリ・・・
 お前の母親との間にできた
 子供だ
 俺は身篭っていたサオリより
 も、生まれて来るイオリ
 お前よりも極道の道を選んだ
 
 アニキは、俺に捨てられた
 サオリを愛し、極道をやめて
 お前の父親になった」

庵は、亡くなった会澤の言葉を
思い出していた。

『禁断の愛によって産まれた』