「カヤコ、それは・・・」

新は、その名前の人物を
知っているようだった。
   
「ホソヤ、おまえ
 その、カヤコという人を
 知っているのか?」
 
「いや、その女性に逢った事は
 一度も無いが、母が生前
 酒を飲むと、その女性の名前
 を話していた
 
 お父さんは、カヤコという
 女性にあって人が変わって
 しまい、私とあなたを
 捨てたのだと・・・」

花夜子という名の、女性

会澤は、確かに庵の事を

『カヤコ』と呼んだ。

その女性を想い、庵に口づけ
を交わした。

彼女は、どうして・・・

庵に似ているのだろう?
  
一夜に似ている庵を

花夜子と

呼ぶのは何故だ?