「ちがう、俺が大事なのは
 お前だけ
 
 お前が、俺の全てだ」

胸に響く、貴方の声

・・・涙が出そう。

「すみれ、今、どこに居る?
 教えてくれ
 今すぐ、お前に逢いに行く」

「だめ」
   
菫の口調が、今度は優しく言い
聞かせるような言い方に変わる。
 
「お願いだから、イオリ
 約束して、私には
 絶対に逢いに来ないで
   
 貴方はもう私を愛していない
 愛していない女の為に
 何も貴方が、危険な目に合う
 必要は無いわ」
 
男は菫の頬を打つ・・・パチン

その音が聞こえるのと同時に
驚きと、痛さに我慢できない
菫の声が洩れた。

「痛い」

「すみれ、どうした・・・
 何があった?
 誰かいるのか?
 おまえ、今、どこにいる
 早く、教えろ?」