運転席に幹生、助手席には雪乃
の乗る自動車が、建物の入り口
付近に停まっていた。

菫は、後部座席のドアを開けて
乗車する。
  
「ユキ、ミキオさん、ごめんね
 こんなに朝早く呼び出して」

「いいのよ、それよりも
 スミレ、おめでとう」

「おめでとう」

照れ臭そうに幹生は、菫に
お祝いの言葉をかけた。

「二人とも、ありがとう
 でも、まだ妊娠してるとは
 限らないんだけどね」

「妊娠検査薬で陽性反応が出た
 のなら、大丈夫
 間違いないわよ、スミレ
 あなた、妊娠してるよ」

雪乃の言葉に、菫は微笑む。

「そうかなぁ
 だったら、嬉しいな」

「イオリの奴も、父親か~
 あいつ、喜ぶだろうな」