「乃恵、来てくれてありがとう・・・・」


目の前で、涙ぐみながら綺麗な花束を持ち、ウエディングドレスに身を包んだ・・・・


あたしのお姉ちゃん、【礼奈】。



お姉ちゃんは、あまりにも綺麗過ぎて、本当に・・・・敵わないと思った。

あたし、お姉ちゃんに負けたんだ。






「乃恵ちゃん、いたんだ?」





後ろから、低い声が聞こえた。

振り返ると・・・・・・・


「雅人さん・・・・」


お姉ちゃんの結婚相手の雅人さんがタキシード姿で立っていた。


不覚にも、とても格好良いと思う。

駄目・・・

忘れなきゃ、いけないのに。


「乃恵ちゃんは、今日も可愛いね」


あたしの頭をポンッと撫でながら、優しく微笑む雅人さん。


その雅人さんの表情が、あたしの胸をどんどん締め付けて、苦しくなった。




「ありがとう・・・ございます」




ただただ、笑顔を作ることしか出来なかった。


このままじゃ、あたしが壊れる。そう思った。








だって、あたしは・・・・・・・・・・・・・


雅人さんのことが、【好き】なのだから。