午後。


部活が終わって、
帰るときにはもう外が真っ暗になってる。


「55分の電車だよね。10分で駅まで着くかどうか」


杏奈ちゃんが校門前の時計を見上げて言った。


「走ってみるかぁ」

「うん」


杏奈ちゃんに言われるままに駆け出しの一歩を踏み、
長い坂を転がりそうになりながら駆け下りた。


秋の冷たい風が体にまとわりつく。

でも、なんだか心地よい。


月明かりの中、とにかく走った。

杏奈ちゃんはどんどん先にいく。



待って…
そんなに早く進んだら危ないよ…


一生懸命、杏奈ちゃんについていった。


踏みきりの近くまで来たとき、


カンカンカン…


追いたてるようにして踏みきりがなった。

ここまでくれば大丈夫。

踏みきりがあがって、そのまま走ってギリギリで電車に乗った。


息づかいが2人とも荒い。

杏奈ちゃんの頬と耳が真っ赤だ。

きっとわたしも赤いんだろうな、
恥ずかしいな。


立ってられず、座り込んだ。

向かい側にいる人がちらっと見えて、そちらに目をやった。






はっとした。