「………」


先輩はじっとわたしを見ている。


「好きでした?」



あっ…
『でした』って…だめじゃん。
間違えたっ!


あわてて手を振った。


「えっ、ええと、好きでしたっ。今も好きです」


先輩の顔を見ると、
どうしても顔が赤くなってしまう。


見れない……けど


「これからも、好きです」


自然に涙が出た。


泣きたくないのに、止める方法がわからない。

声もでないで、ただ、涙だけが流れる。



でも、
好きっと素直に言えてよかった。

想いが、伝えられた。



先輩の大きな手が、わたしの頬を流れる涙を優しく拭った。


「ありがとう」


そう言って、
先輩はわたしを抱きしめた。


わたしはただ驚いてしまって動けない。


「……先輩?」


足が木偶にでもなったかのように、立ったままどうすることもできない。



先輩がゆっくり腕を緩めて、
わたしの顔を手のひらで包んだ。



頭の中が真っ白で
世界がぼやけて見えた。






先輩は――――――‥







わたしに







キスした。