途中から涙を流していることも忘れて二人を目で追っていた私に、とんでもない言葉が降りかかってきた。 私に…惚れてる……? 「――なんで?なんで私じゃなくてあの子なの?」 驚きで涙が止まった私とは対照的に、杏奈は今にも泣きそうな表情で恭平さんに問う。 「そんなの知ってどうするつもりだ?…さぁ、終わりだ」 恭平さんは杏奈に背中を向ける格好をした。 「……いつか後悔させてやる!」 吐き捨てるようにそう言うと、杏奈は荷物を持ち部屋を後にした。 …最後に思いっきり私をにらんで。 .