二人の泊まる部屋は、旅館の特別室。 いわゆるスイートルームだ。 部屋に通され、国枝杏奈は恭平さんと窓から景色を眺めている。 「それではごゆっくり…」 私と真里さんは頭を下げ、部屋を後にしようとした。 「仲居さん。ちょっといてもらってもいい?」 私の方を見つめ、恭平さんが話しかけた。 「え?」 国枝杏奈が声を上げる。 突然のことに、私も目を見開いて戸惑う。 気がついたら真里さんはとっくにいなくなっており、三人が部屋に残った。 .