私は声のした方へ振り返る。 そこには、きれいな淡い紫の着物を着た女性がいた。 「あなた、もしかして…七原栞奈ってお名前?」 私は、驚きながらも頷いた。 「なんで私の名前…」 すると、女性は涙をこらえるような表情で私を見つめ、にわかには信じられないことを言い出した。 「祐子ちゃん…あ、あなたのお母さんにそっくりだからすぐわかったわ」 私の――― 「お母さん、知ってるんですか?」 私の心臓は、ドクン、と大きく跳ね出した。 .