ぼんやりする頭の中を探り、私は口を開く。 「真山恭平…?」 「年上なんだ。せめてさん付けしろよ」 恭平…さん。 心の中でとなえると、少し照れくらい気持ちになった。 恭平さんは小さなボストンバッグ一つの私の荷物を持ち、エレベーターへ私を促した。 .