ジェイクは椅子に足を組んで座って、当然だという顔をした。
「怒るだろうな。でも、なっちまえばこっちのもんさ。魔力を失った彼女にはどうすることもできない」
ジェイクがそう言い終えると、階段を降りる音がしてラディアンが顔を出した。
少し困った顔をしている。
「どうしたの?」
ナーベルが尋ねると、彼はさらに眉を下げた。
「家に戻った母が、父に早く捜しだせと喚き散らしているらしい。いつ父が降参してしまうか気が気でないよ」
ふぅ、とため息をつき、ナーベルの隣に腰を下ろした。
そんなことにもドキリと体を固めたナーベルをジェイクが素早く見つけ、いたずらっこのような表情を浮かべた。
「そうか。それじゃ俺は、森の結界を強化してこよう。いつ父君が降参してもいいように」
ジェイクは楽しそうにさっさと出ていってしまった。
二人きりになってしまって、ナーベルはますます体を固めた。
自分は結婚するためにこの人に着いてきたはずなのに、どうしたらいいのかわからない。
深く考えもしないであっさり着いてきた自分を恨んだ。
(それとも、あの時私は魔法にでもかかっていたのかしら)
「ごめんね」



