花の魔女


ラディアンのいつもより近い距離にナーベルはどぎまぎしたが、ラディアンは落ち着いている。


「今から少し力を送る。ナーベルはさっきと同じように花を浮かべることに集中して。イメージが大切だからね」


ラディアンの言葉にナーベルは頷き、花に集中した。

すると、今までとは違う感覚―――


体の中から何かが溢れ出すような感覚が湧き、花が宙に浮いた。

それを見たナーベルは目を見開いて驚いた。


つかの間、花は宙に浮いたあと、ゆっくりと地面に着地した。


驚きで固まったままのナーベルに、肩に手を添えたままラディアンが囁いた。


「…今の感じ。わかった?」


ナーベルはこくこくと頷いた。

これが魔法の感覚かと、納得した。


ラディアンはそんなナーベルを確認して、そっと手を離した。


「それをいつでも出せるようになったら、第一段階はクリアだよ」


ナーベルは振り向き、ラディアンに笑みを向けた。


「ありがとう、ラディアン。何だかできる気がするわ」


ラディアンもナーベルに優しい笑みを向けた。


しばし見つめあう二人に、ジェイクはにやりとして静かにその場を離れた。