花の魔女



翌日から、ナーベルの魔女修行は始まった。


まずは、ジェイクが適当に摘んできた花を宙に浮かすことからだった。


ラディアンはいとも簡単に花を浮かせてみせるのに、ナーベルはぴくりとも動かすことができない。

その様子を、ジェイクは切株に座って愉快そうに眺めている。


「無理、もうだめ。私には才能がないのよ」


ラディアンがやっているのを見て、自分も出来そうだと思ったが、何度やってもうまくいかないのでナーベルは疲れた顔で座りこんだ。


見かねたラディアンは座りこんでしまったナーベルに歩み寄った。


「そんなことないよ。ナーベルは絶対できる。僕も最初はそうだったから大丈夫」


絶対に、と続けるラディアンの励ましに、ナーベルはそっと顔をあげた。

まだ心配そうな表情に、ラディアンはちょっと考えてから


「少し手伝ってあげる。これで感覚を覚えるといい」


ラディアンはナーベルを立ち上がらせると、後ろからナーベルの肩に手を置いた。


「あ、あの、ラディアン?」