サイラスが小声でナイジェルに囁くと、ナイジェルは二人を家の中に入れてくれた。
小さな家だったが、親子二人が暮らすのに十分な家具は揃えてあった。
サイラスはナーベルをベッドに寝かせ、ラディアンにそばについているように指示した。
ラディアンは頷き、近くにあった椅子を引き摺ってくるとそれによじ登り、彼女の様子を窺った。
眠るナーベルの顔を見つめて、彼女の手をそっと握った。
手はこんなにあたたかいのに、ナーベルはまるで死んでいるように眠っている。
「まず、お聞きしたいのですが」
サイラスとナイジェルが向き合って話を始めた。
「あの子がクラウディオの娘というのは、本当ですか」
クラウディオ。
その名前は、ラディアンも聞いたことがある。
力のある魔法使いだったが、罪を犯して何年か前に処刑されたはずだ。



