花の魔女



「これはこの子の生命の源だよ。全部抜かれたら、危ないところだった」


サイラスは説明をしながらラディアンの手から最後のひとつである球を取り、ナーベルの体に戻した。


「しばらくしたら目を覚ますだろうが…、怪我を負っている。熱がでるかもしれないな」


ナーベルの矢傷に眉を寄せ、サイラスは再びナーベルを抱え上げた。


「この子の親のもとへ行こう。話さなくてはならないことがいくつかある」


幼いラディアンは何が何だかわからないまま、サイラスのあとに続いて木の洞を出た。


ナーベルの村に着くと、村人たちは不審な目をして見慣れぬ訪問者を見てきた。

しかも怪我をしたナーベルを抱えているから、余計に不審がられてしまう。


ラディアンはサイラスの陰に隠れながらも、村人たちからの畏怖の視線を感じていた。


ナイジェルは、運ばれてきたナーベルを見てはっと息を飲み、それからさーっと青ざめていった。


「こ、これは…」


「お話は中で致します。ここでは村の人たちに聞かれてしまう」