花の魔女



「何をしている!」


声が聞こえ、金属が弾かれる音がして、ナーベルは目を開けた。


また、知らない男が目の前に立っている。

ただし他の男たちと違うのは、自分たちを守ってくれている、ということだ。


「父様!」


ラディアンが叫び、ナーベルは目の前の男の背中を見上げた。



(ラディアンの、お父様…)



サイラスに剣を弾かれた少年は、手首を痛めたらしく顔を歪めてサイラスを睨んだ。


「邪魔をしないでもらえるか。俺はその子に用があるんだよ」


サイラスは二人の子どもを背に庇い、同じように少年を睨みつけた。


「どうしてこの子を殺そうとする?」


サイラスの問いに、少年は手首をひらひらさせながら顎でナーベルを差し、にっと笑った。


「サイラス殿は、その子の正体を知らないのかい」


その言葉に、サイラスはぴくりと片眉をあげた。


少年はサイラスの様子を見て、肩を竦めてクククッと笑った。