花の魔女



ヒュッ、と聞きなれない音がしたかと思ったら、腕に熱いものが走った。


咄嗟に腕に触れると、赤い血が手のひらについてびっくりした。


「ナーベル!?」


ラディアンが目を見開いてナーベルの腕を見て、それから、近くの木に刺さった一本の矢に視線を移した。


「なんで…」


ラディアンは顔色を変えてすぐにナーベルを小川から出し、手を引っ張って森の中へと走った。


次々と矢が飛んできて、ナーベルたちの近くの木や、足元に突き刺さる。


ナーベルはラディアンに引っ張られて走りながら、少しだけ、後ろを振り返った。

男たちが数人ナーベルたちを追いかけてきている。


見たことがない男ばかりで、どうやら村の男たちではないようだ。

ナーベルは彼らのことを知らないのに、どうして追いかけてくるのだろう。



ナーベルは前を向き直り、必死でラディアンについて行った。