(そんなの、嫌だ!
私は ラディアンと結婚するんだから!)
疲れているのも忘れ、ナーベルは飛び起きると窓のほうへ駆け寄った。
バルコニーに出て下を覗き込むと、中庭が見えた。
式の会場の準備で忙しいのか、中庭には人影が見当たらない。
ナーベルはゴクリと息を飲んだ。
ここは三階で、結構高さはある。
しかしドアの向こうには見張りが立っていることは確実で、ドアから逃げることはできない。
だとしたら、ここから逃げるしかない。
意を決して、バルコニーから身を乗り出した。
なんとかして下の階に身を移そうとして足を一歩ずらしたところで
「あっ…」
手が、滑って空中を掻いた。
落ちるーー



