翌日、ナーベルは冷たい牢から出され、別の部屋に移された。
その部屋で、侍女らしい女の人たちによって湯あみをさせられ、綺麗なドレスを着せられ、髪を結われ、化粧を施された。
その間に何度か逃げ出そうと試みたが、見張りは多くすぐに連れ戻されるばかりだった。
「それではナーベル様。婚礼式が始まるまで、こちらでお待ちくださいね」
侍女たちが部屋を退出し、ナーベルは疲れてぐったりとソファに沈みこんだ。
慣れないことばかりされて気疲れしたのと、逃げ回ったせいで体力的に疲労したのとで、体が鉛のように重かった。
高く結われた髪にもいろいろ飾りがつけられて頭が重いし、と思いながら髪に手を伸ばしたところで、鏡に映る自分の姿が目に入った。
鏡に映る姿を見て、ゾクリとした。
そこに映っているのは、どこからどうみてもこれから式を挙げる花嫁の姿だった。
このままでは本当に、あのシルヴァンとかいう王子と結婚させられてしまう…



