花の魔女



「鷹!?」


ナーベルは愕然とした。


ナーベルたちを襲い、ラディアンに深手を負わせたあの鷹は、レジスが放ったものだったのだ。


ナーベルを攫うために…?


「さあ、一緒に来てもらおうか」


レジスが近づいてきて、ナーベルは身構えた。

そんなナーベルの様子を見て、レジスは可笑しそうにクックと笑った。


「抵抗するのか?こちらには人質がいるのだぞ」


倒れているジェイクを足先でつつき、にやりと笑った。


「瀕死のこいつらを殺すのなんて簡単だが、見逃してやってもいい、と言ってるんだ」


優しく、諭すようにレジスは言ったが、有無を言わせない脅しがあった。


ナーベルは息を飲み、気を失っている二人を見た。


このままでは、二人は殺されてしまうかもしれない…。


それに、フィオーレですら敵わなかった相手に、自分ひとりで太刀打ちできるのか。


ここで足掻いて負けでもしたら、それこそ本当に皆殺されてしまうのではないか…



ナーベルは葛藤していたが、やがて決心した。