少女の声が聞こえて、しっかりしろと声をかけるつもりで振り返ったラディアンの目に、自分を見上げるナーベルの姿が映った。
思いの外近くにいたナーベルの瞳と目があった途端、ラディアンの頭に激痛が走った。
ラディアンが呻いて頭を押さえながらふらふらとよろめいたので、ナーベルは咄嗟に立ち上がって、ふらつくラディアンの体を支えた。
「どうしたの!?しっかりして!」
そうしている間に体勢を立て直した鷹が、二人の頭上をゆっくりと旋回し始めた。
ナーベルはようやく鷹の存在と、罅の入った結界に守られていることに気が付いた。
ラディアンが守ってくれていた…
ラディアンに手を伸ばしかけたところで、鷹が高く啼いて急降下してきた。
そのスピードに恐怖を感じ、苦しんでいるラディアンを引き寄せ、庇うように抱きしめた。
鷹の鋭い爪が罅に食い込んで結界を破り、中に入り込んできた瞬間、ナーベルの体は反転した。



