「ラディアン!」
切羽詰った声で、ドロシーが叫んだ。
「その子を守って!」
敵である者を何から守れというのか混乱していると、風切り音がして、大きな鷹が頭上を風のように横切った。
あまりの大きさに目を見張っていると、鷹は旋回して、勢いよくナーベルめがけて降下し始めた。
ナーベルはまだ頭を抱えたまま座り込んでいる。
ラディアンはすぐにナーベルに駆け寄り、結界を張った。
鷹は結界にぶつかり、甲高く啼いて雨雲の広がる空へ高く飛んだ。
爪が掠った場所に罅が入っているのを見て、ラディアンは焦った。
爪が掠っただけで罅なんか入ることはないのに。
まさか、と思い当って舌打ちしたところで、ナーベルが顔を上げた。
「…ラディアン?」



