「あなたも魔法を使えるわよね、ラディアン」
振りかざした手の先に、まとわりつくように風が集まってきた。
風の精霊が力を貸してくれているのがわかる。
右手に風を集めながら、左手にルッツから手渡されたあのカードを隠し持った。
ナーベルが戦闘態勢に入ったのを見て、ラディアンは苦い顔をして剣先で空を切り、そのまま鞘に納めた。
「その気なら、力ずくで退いてもらう」
ラディアンの真剣な目に息を飲み、はっとしたときには足首に地面から伸びた蔓が巻き付いてきた。
そのまま蔓はするするとナーベルの体に巻きつき、動きを封じてしまった。
やはり魔法を使うスピードは、ナーベルより明らかに速い。
うまく身動きがとれずにもがいていると、ラディアンは再び剣を手に、ルッツの方へ駆けだした。
(しまった…!)
「だめ!」



