「何するの?私、早く修行して、きちんと花の力を身につけなくちゃいけないの!」
「ええ、そうです。ですが、こうやって休養するのもナーベル様の大切な仕事です。また倒れて寝込むことになっても知りませんよ?」
「………」
それもそうかと思い直し、起こしかけた体を大人しくベッドに横たえた。
けれど、今すぐ眠れるわけもない。
窓の方に目をやると、カーテンの隙間から星空が見え、夜だったのかとぼんやり思った。
深い藍色の夜の空には月が浮かび、星たちがキラキラと輝いている。
ナーベルはしばらく夜空を眺めていたが、やがてぽつりと口を開いた。
「ルッツ、あなたもショックを受けているのね……?」
その言葉に、花瓶に花を生けていたルッツがゆっくりと顔をあげる。
ナーベルもルッツの方に顔を向けると、ルッツの琥珀色の瞳とぶつかった。
「…どうして、そう思うのですか」



