花の魔女


「悪い夢を?」


ドキ、とナーベルは心臓を鳴らした。

先ほど夢の中で、そして実際に叫んでしまったことを言っているのだ。


じっと見てくるルッツから目を逸らし、床に視線を落ち着かせた。


「そう、悪い夢……。私、昨夜のことがよっぽどショックなんだわ…」


「昨夜ではありませんよ。もう3日も前のことです」


ナーベルの嘆きに、ルッツはそっとそう言った。

それに驚いたナーベルは、そらした視線をもう一度ルッツに合わせることになってしまった。


「3日ですって!?私そんなに眠っていたの!?」


両手を頬に押し当てて驚愕するナーベルを、ルッツはおかしそうに見てからベッドに近寄った。

そして、こうしてはいられないと今にも部屋を飛び出して行きそうなナーベルの肩に優しく手をおき、ベッドに横たわらせた。


それにナーベルが焦りぎみに抗議をする。