花の魔女


「何言ってるのよ。ラディアンは私のものよ。返してくれなんておかしなこと言わないでくれないかしら」


そう言って女はラディアンの腕に手をまわし、くっついてみせた。

ラディアンは抵抗する様子もなく、彼女の手が自分の腕に絡みつくのを許している。


「ね、わかったでしょう?ラディアンは私のものなのよ。わかったら、私たちの邪魔をしないでもらえるかしら」


勝ち誇った女の顔が、楽しげにナーベルを見る。

しかしナーベルは彼女の方には見向きもしないで、ただラディアンを見つめていた。



どう考えたって、ラディアンの様子はおかしい。


だってあの青い瞳は、いつだって輝いていた。


今みたいに、死んだような目をしたことなんて一度もなかったのに。



ナーベルはぐっと手を握りしめ、女の方に目をやると、睨みつけた。


「嘘言わないで!ラディアンを返しなさい!」


女は途端に顔を歪め、ラディアンの腕をぐっと掴んだ。


「…往生際の悪い人ね!」


ラディアンを自分のほうに向かせ、今度は甘い表情でラディアンに囁きはじめた。