浴室に入って、どうしてモニカがあんなにうきうきとしていたのかがわかった。
浴室いっぱいにふわりと広がる、癒やしの香り。
ナーベルは目を閉じてその香りを楽しんだ。
「素敵。ありがとう、モニカ」
ナーベルがお礼を言うと、モニカは照れくさそうに手もと近くに浮かんでいた薔薇の花を掬いあげた。
モニカが用意してくれていたのはたくさんの薔薇を浮かべた薔薇のお風呂だった。
「いいでしょう。奥様からお許しを頂いて、さっき温室から摘んできたばかりなんです」
「嬉しいわ、さっそく楽しませてもらうわね」
モニカが嬉しそうに笑い、ナーベルがドレスを脱ごうと手をかけたときだった。
ガシャーン!!!
突然浴室の窓が割れ、壁に大きくヒビが入った。
「きゃあああ!?」
モニカは悲鳴をあげてナーベルに飛びつき、ナーベルはモニカを背にやりながらひび割れた壁を凝視した。



