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部屋に戻るとすぐ、ナーベルはドサッとベッドに倒れ込んだ。
そんなナーベルに、ルッツはクスクスと笑う。
「お疲れのようですね。魔女修行はうまくいっていますか?」
ティーカップにミルクティーが静かに注がれ、甘い香りが部屋に漂いはじめた。
ナーベルはむぅっとして体を起こす。
「だめだわ。ただ花の魔力を発動させるだけでは操れないの。すごく難しくて―――…って、そういうこともお見通しでしょう、ルッツは」
彼は何も言わず、微笑んだままナーベルにミルクティーを差し出した。
ナーベルはやっぱりね、と思いながら温かいカップを受けとった。
ミルクティーの控えめな甘さは疲れた心と体を癒やす。
ナーベルはほぅっと息をついた。



