花の魔女


ナーベルは今目の前で何が起こったのか理解しきれず、その場につっ立ったままきょとんと目を瞬かせている。


フィオーレはそんなナーベルを見てクスクスと笑った。


「ナーベル様、驚いていらっしゃるようですわね。今のが打ち消しの魔法ですわ。消滅、と言ってもいいんですけど、響きが物騒だから打ち消しと呼んでいますの」


「ま、消せるのは闇を纏った魔力だけだけどな。さっきお前が出した風に属しているような自然の力はこれじゃ消せない。あくまで闇だけだ」


頭を掻きながらジェイクが付け加えた。


ナーベルは信じられない、と息を飲んだ。



闇を飲み込んでしまう花の力―――



これが、花の魔法。



(サイラス様が、花の力があることは都合がいいと言っていたけれど――、こういうことだったのね!)