ナーベルが止めさせようと口を開いたと同時に、ジェイクの手の平に灰色の靄のようなものが浮かび上がり、フィオーレめがけて放たれた。
灰色の靄は真っ直ぐにフィオーレへ向かう。
「フィオーレ!」
ナーベルの悲鳴のような叫びにも動じず、フィオーレはさっと両腕を前に突き出した。
その途端、フィオーレを包んでいた光がぱっと分離し、そしてまたひとつにまとまりながらジェイクの放った靄に向かっていった。
互いに吸い込まれるように衝突し―――…
途轍もなく眩しい光にあたりは包まれ、光は靄を飲み込んでしまった。
眩しさに目を細めながらも、ナーベルの心臓はドキドキと鳴っていた。
やがて光は消え、不満げな顔をしたジェイクと余裕の表情で立っているフィオーレの姿が鮮明にナーベルの目に映った。



