「ええ…。プルバの村は私のいた村よ。……やっぱり魔物は、私を探しているのね」
「そのようです」
狙われているのは自分だ―――
そう思うと、どうしても恐怖が襲ってくる。
魔物はいつ自分の前に現れるかわからない。
もしかしたら今日、今にでも。
そしたら魔物は自分を―――‥
そこまで考えていたとき、ふわりとナーベルの体を何かが包んだ。
目の前にあるのは、淡い金色の髪。
ルッツがナーベルを抱きしめているのだ。
ナーベルは驚いて目をまるくした。
自然と体の震えも止まる。
「大丈夫ですよ、ナーベル様。あなたは私が、守りますから」
ルッツの低くて優しい声が耳元で響き、ナーベルはどうしてか不安が解けてガチガチに固めていた体の力をふっと抜いた。
そして急に眠気が襲う。



