心配そうに覗き込んでくるモニカをやんわりと押し返すと、モニカはかしこまりましたと言って急いで準備に取りかかった。
モニカに変な心配はさせたくない。
(それにまだ、わかったわけじゃないもの。ルッツの憶測なだけで、魔物が本当に―――)
ルッツはなんとか自分を落ち着かせようとしているナーベルを黙って見ていたが、それではまた、と一礼してドアに手をかけた。
すると、ナーベルの部屋着をクローゼットから取り出していたモニカが思い出したようにルッツを呼び止めた。
「そういえば、先ほど奥様から魔法鳩で連絡が入りまして。また別の場所で魔物が現れたらしく、帰りは明日になるだろうとのことです」
ドアに手をかけていたルッツはモニカに向き直った。
「そうですか、魔物が。場所はどこだかわかりますか?」
「ええ」
モニカはやっと取り出した部屋着をベッドの上に丁寧に広げ、唇のあたりに人差し指をあてた。



