花の魔女


……花の魔法を教わるときに、もう覚悟は決めていたはずなのに。



また弱気になっていたらしい自分に気づき、ナーベルは反省した。


「そうですね。私、頑張ってみます」


そう言って顔をあげたナーベルに、その場にいた全員がほっと安堵の息を漏らした。


「それにしても」


サイラスがワイングラスを手にとりながら口髭を揺らした。


「ナーベルさんが花の力を持てる魔女であるということは、我々にとって都合がいい」


サイラスが言ったことに、アナベラもこくりと頷いた。


「そうですわね。これはもう、運命というものなのかもしれませんわ」


ナーベルはどういう意味かわからずに、ジェイクとフィオーレの方を見た。

二人も納得しているようで、どうやら理解していないのはこの場でナーベルだけのようだった。


そのまま話を進めていこうとするサイラスに、ナーベルが慌てて口を挟もうとした、そのとき。