花の魔女


「そんな……私、まだきちんと使いこなせないんです。期待されるようなものではありません」


「いいえ、弱気になとてはダメよ、ナーベルさん」


アナベラが、いつかフィオーレがナーベルに言ったようなことを言って、はっとして顔をあげた。


アナベラの強気な瞳がナーベルを見据える。


「花の魔法は特別な者にしか修得することができません。それどころか、花の精霊による協力と信頼が必要です。
あなたは花の精霊に認められたの。そのことを誇りとして、花の魔法を身につけなくてはなりませんよ」


ナーベルは黙りこみ、ちらりとフィオーレを見た。


フィオーレはナーベルと目が合うと、にこっと笑ってみせ、アナベラの言葉を肯定するように頷いた。

そのフィオーレの隣ではジェイクが肘をつき、にやりと笑みを向けてきた。


ジェイクなりの励ましのつもりなのだろう。