続いて三人もそれに倣う。
目の前には今まで目にしたことがないような豪華な食事が並び、中央にはフルーツがどっさりと山のように盛られている。
どれから手をつけていいかわからず、とりあえず一番手近にあったハーブ入りのパンを手にとった。
すかさず後ろで控えていたルッツがナーベルのお皿に少しバターをとってくれ、ありがとうとお礼を言うと、お礼を言ってはダメだと返された。
こういうことに全く慣れていないナーベルには、他人に自分の世話を焼いてもらうというのにお礼が言えないというのは、少し窮屈でもやもやとした。
アナベラとサイラスにも一人ずつ使用人がついているようだが、二人とも平然としている。
ここではこれが普通のことなのね、とナーベルはため息をついた。
この生活に慣れる日が来るのだろうかと少し憂鬱になる。



