白い花の髪飾りは、ナーベルの黒い髪にとても映えている。
鏡越しにうっとりとモニカが自分を見つめているのに気づいて、ナーベルはなんだか恥ずかしくなった。
鏡に映る自分はまるで別人のようで。
うぬぼれたいわけではないけれど、確かにきれいだと思った。
でもこんなに素敵なドレスを着て着飾っても、本当に見て欲しい人はここにはいない……
そう思うと、どうしても表情が暗くなってしまう。
そんなナーベルに気づいたモニカが咎める。
「ダメですよ、そんな暗い顔をしていてはドレスが台無しです。笑顔が一番です。笑顔は幸せを運んでくれますよ」
そう言ってにこっと微笑んでみせ、両の人差し指で自分の笑った顔を指差すモニカはなんとも可愛らしい。
「モニカ……あなたって可愛いわね」
ナーベルが感心しながら呟くと、モニカはぽっと頬をそめた。
「そ、そんなことありません!奥様がお待ちですから急ぎましょうナーベル様」
赤くなったのを誤魔化すように慌ててナーベルを部屋から引っ張り出すモニカを見て、やはりモニカは可愛らしいと思うナーベルだった。



